独身の方が結婚後の生活で不安を感じることに
「お互いの親の介護」
についてがあります。
「親の介護」といってもまだピンとこないかもしれませんが、将来的には多くの方が体験する切実な問題です。
独身の場合は自分の両親、結婚するとなると結婚相手の義父母の介護もサポートしていくことになります。
実際に親の介護をする場合に、状況によっては「介護離職」を検討するケースも少なくありません。
このページでは「介護離職」を中心に、親の介護について考えていきたいと思います。
介護離職するとどうなるか考えてみた
2019年に離職した人は全体で約785.8万人で、そのうち約10万人が介護を理由に離職しています。
男女の内訳は、
- 男性:約2万人
- 女性:約8万人
と、女性の方が圧倒的に多くなっています。
介護離職した年齢
【介護離職した年齢】
(男性)
・40歳~44歳:0.70%
・45歳~49歳:0.96%
・50歳~54歳:3.03%
・55歳~59歳:2.60%
・60歳~64歳:2.36%
(女性)
・40歳~44歳:1.26%
・45歳~49歳:2.94%
・50歳~54歳:4.20%
・55歳~59歳:9.51%
・60歳~64歳:10.29%
<厚生労働省「雇用動向調査」/2019年より>
*理由を問わず離職した男女の中で、介護離職した人の割合
介護離職する年齢としては、男女ともに50代で比率が高くなりますが、女性は60代に向けて比率が上がっていきます。
60歳~64歳の女性に関しては、10人に一人が介護離職していることになります。
高齢になってくると働きながら親の介護をするのは心身ともにツライので、50代から介護離職して介護に専念する傾向にあります。
介護離職をした場合に考えられるメリットとデメリットはこちらになります。
介護離職のメリットとデメリット
(メリット)
・親は喜ぶ
・介護費用を軽減できる
(デメリット)
・仕事を辞めなければならない
・収入が減る
・介護に対するストレス
介護する側からするとデメリットのほうが大きいと感じますが、親のことを考えるとそうも言えないのが現実です。
また介護離職するということは、収入がなくなることを意味します。
介護離職したら、それ以降の生活費はどうすればいいのでしょうか?
介護離職による生活費はどうする?
仕事を辞めて介護に専念する場合、今後の生活費の財源は
- 自分の貯金
- 配偶者の収入、貯金
- 親の年金、貯金
となります。
財源に関しては個人差が大きく、お金の面で不安に思うことは介護ストレスの原因となります。
また自分の貯金や配偶者の収入は分かりますが、親の年金や貯金額などは分からないという人は意外と多いです。
親とお金の話はしにくいかもしれませんが、介護が必要となるときは必ずくるので、親子でお金の話は早い段階でしておきましょう。
お金の話とあわせて、加入している保険や住居・土地などについても把握しておくことが大切です。
私も親にお金の話を聞くときは、
「どれくらい遺産があるか探りを入れていると思われるかもしれない」
と聞くのをためらいましたが、介護に対する思いを伝えるとスンナリと話ができました。
気を遣いながらも遠慮せずに、現状を把握してましょう。
ちなみに実際に介護が始まった場合ににかかる費用って、どれくらいだと思いますか?
介護にかかる費用
「生命保険に関する全国実態調査」によると、在宅介護にかかる平均的な費用は
「毎月平均:7.8万円」
となっています。
この金額は介護にかかる費用なので、生活費などは別途必要となります。
また、利用する介護サービスによっても、金額は大きく異なります。
一番大きく金額に違いがでるのが、在宅介護か施設入居かということです。
在宅介護の場合は費用的に抑えることができますが、そのぶん介護に専念することになるケースが多いです。
費用は抑えられますが介護離職した場合などは、収入も減るので経済的には厳しい状況になりがちです。
介護施設を利用した場合の費用
公的な介護施設である特別養護老人ホームの相場は、6万円~15万円/月です。
公的な介護施設ではない有料老人ホームは、入居金(入所時)+毎月10万円~50万円が相場となります。
施設入居の場合も、公的な特別養護老人ホームは相場が安いですが、民間の有料老人ホームではサービス内容に応じて料金の幅が広くなります。
特養は費用が安いぶん、入居待ちが多くてなかなか入居できないことがあります。
要介護度に応じて入居の優先順位が違ったり、性別に応じた部屋が満室の場合など、入りたくても入れない状態が長引くこともあります。
有料老人ホームでは、設備やサービスが充実しているとそれだけ費用も高くなります。
高級有料老人ホームの場合は、入居金が何百万円~何千万円ということも珍しくありません。
いろいろな料金形態がありますので、必要なサービス内容と支払える費用を明確にしておくことが大切です。
またお金の面以外でも、介護に関しては悩みとなることがいろいろあります。
介護の悩み
親を介護施設に預けのは親不孝?
親を介護施設に預けるのは、「親不孝」という価値観をお持ちの方もまだまだおられます。
最近では「子供に迷惑をかけたくない」という親御さんも増えてきましたが、実際にその場面になったときは施設に入所されるのを嫌がる方もおられます。
まだ介護が必要でない状況かもしれませんが、あなたは今すぐ将来の介護については親子で話せますか?
介護については話しにくいことですが、いつまでも先延ばしにするのはよくありません。
いざそのタイミングがきたときに慌てだすようでは、そっちのほうが親不孝です。
介護について話し合うときには、親の希望を聞くとともにご自身の希望も親に伝えることが大切です。
お互いの気持ちや立場を尊重しながら受け入れるところは受け入れて、将来の介護の基本形を作っておきましょう。
いざ介護するタイミングがきたときはその基本に沿って、行政サービスと相談しつつ進めていけば困ることも少ないです。
親の介護のために離職するということは、とても難しい決断だと思います。
また日本政府としては、今後は労働力を確保するために介護離職を減らそうとする方針です。
60代になってもまだまだ働いてもらいたい政府としては、介護サービスの充実などにより介護と仕事の両立を支えていこうとしています。
ただ現実的には、介護が終わったあとに再就職するのは難しい状態で、再就職希望者のうち3割しか再就職できていません。
介護と仕事の両立は可能?
介護と仕事を両立するためには、国の制度を活用することが大切です。
【介護と仕事の両立を支援するための国の制度】
・所定外労働の制限(残業の免除)
・法定時間外労働の制限
・深夜業の制限
・所定外労働の短縮等の措置(時短勤務やフレックスタイム制などの利用が可能に)
・配置に関する配慮(転勤を無理強いしないなど)
これらの制度は国が法律によって保障している制度で、会社の就業規則になくても利用することができます。
会社は申し出を拒否することはできませんし、解雇したり異動させることもできません。
もちろん会社と円満に上記の制度を利用することが理想です。
利用が必要になった場合は、会社と相談して介護と仕事の両立を支援してもらいましょう。